狩猟の話 2

キジバトのロースト サルミソース

ジビエ料理の本で野鳥料理の定番として紹介されているサルミソース。内蔵のソースとか血のソースと書いてあります。チョコレートを溶かしたような濃厚でツヤのあるおいしそうなソース。美しいロゼ色に仕上げられたカモやハトをサルミソースとともに、、、。最高においしそうな料理です。そうなると作るしかありません。簡単な料理ではありませんので料理本とYouTubeでしっかりと勉強をします。コガモで一度作ったことがあるので、今回のキジバトは2回目です。コガモの時も想像以上のおいしさで、これまで食べたカモの中では一番です。

さて、そのサルミソースを簡単に説明すると、丸のままの鳥を表面に焼き色がつくように焼いたら部位ごとにバラシます。首づるや手羽などの肉を食べない部分を香味野菜とともに炒めてハトの香りを引き出したところにワインとフォンドヴォーを加えて煮詰めて、ペースト状にたたいた内臓を加えて優しく火を入れて、バターでとろみを加えて味を整えて、、、と、文章にすれば短いですが、何度も漉したり火加減に注意が必要だったりとなかなかの手間と集中力が必要です。さらにこのソースを作っている間にも別の集中力を必要とする肉の火入れをおこなわなくてはなりません。素人にはハードルの高い料理ですが、おいしいものを食べたいのでがんばります。と、文章では大変さがあまり伝わらないですが、ミスもなくいい感じにしあがりました。見よう見まねで盛り付けて「キジバトのロースト サルミソース」完成です!ワインを注いで、さあ、いただきます。まずは、小さなモモ肉をひと口。やわらかくジューシーに仕上りに「おいしい!」これは本当においしいです。お次はムネ肉。火入れはどうでしょう。ナイフを入れるとほどよい弾力のあとに美しいロゼ色の断面があらわれました。イメージどおりの火入れに仕上がっています。サルミソースをつけて、、、ひと口。ゆっくりと噛みしめます。これはおいしいです。唸るおいしさというものです。「噛むほどに広がる肉の旨味をサルミソースの複雑な味と香りが包み込むのを目の奥のほうで感じながら、、、」などとそれらしい事を言ってしまう味です。

猟期は残り約一ヶ月。おいしい野鳥を求めて里山を巡ります。

狩猟の話

キジバト

キジバトの姿をぱっと思い出せる人はあまりいないとおもいますが、鳴き声は聞いたことがあると思います。「ポーポーポッポー」と鳴いているのがキジバトです。街の中でも見ることができる身近な鳥です。狩猟鳥の中では簡単に獲ることができる初心者向きの鳥として紹介されることが多いのですが、それはどうやら地域差があるようで、ここ山形で獲ることがなかなか難しいです。なぜなら猟場ではキジバトはあまりみかけませんし、いたとしてもとても敏感です。姿を見かけても車のドアを開けた途端に逃げていってしまいます。東京から引っ越してきたハンターの知人も山形のキジバトはすぐに逃げてしまうので獲れないと言っていたので、どうやら思い込みではないようです。とはいってもキジバトを目的として猟をしたことはないので、本気でキジバト猟をするようになれば難しいこともないのかもしれません。

そんなキジバトですが、先日、久しぶりに獲ることができました。7年前に宮城県で一羽だけ獲ったことがあるだけなので本当に久しぶりです。しかも一度に2羽獲ることができました。キジバトを獲りたいとずっと言っていたので、「やった!やった!」と声を出して喜びました。

さて、このキジバト。前回の料理はローストしてキジのリゾットを合わせました。料理が好きなので本格的に取り組みます。毛むしりからはじめて料理の本を見ながら料理をしたら一皿に半日かかってしまいましたが、素人ながらなかなかの一品に仕上がりました。オーブンに出し入れをして丁寧に火を入れたキジバト。その美しい照りをまとった胸肉を一口。やわらかくも歯切れの心地いい弾力のある肉は噛んだ瞬間から「おいしい!」といえるほど明確なおいしさです。

写真が「キジバトのローストとキジのリゾット。」